「…しない。」
ぐっと耐える
「…最近ハグしてくれないね」
「当たり前だろ」
「昔はしてくれてたのに」
分かりやすく落ち込むはなを今すぐ抱きしめたい衝動に駆られる
…あー、もう。
「…そんな顔すんなよ」
「だって…寂しいよ」
何この可愛い生き物
こんな顔されたら我慢できない
「しょうがねぇな」
そう言って、その小さな体をすっぽりと腕の中に閉じ込める。
香ってくる甘い香りと、柔らかな肌の感覚
「樹っ」
透き通ったはなの声が聞こえてもうパンク寸前
抱きしめたことを一瞬で後悔した
嬉しそうに、力一杯抱きしめ返してくるはな
…ほんと心臓に悪い
耐えろ、耐えろ
南無阿弥陀…
なんとか数秒耐えた俺は、素早く腕を解き
「もう、いいだろ。早く帰れ」
「うん!!また来るね!」
俺の冷たい言葉にも満足げに微笑んで玄関の方へ歩いていく
「はな、さんきゅ」
そう声をかけると少し驚いたような表情をしながら振り返って、
「私はいつでも樹の味方だからね!」
ガッツポーズをして、何よりも力強い言葉を与えてくれる。
はなは、天使だ。
…それにしても成人式やっぱり心配だな。
楓に当日の動き観察しといてもらうか。



