「はな」
そのハスキーな声に息が止まる
3人で歩く私の目の前に現れたのは、変装をしている樹の姿
まるで私を通さないように壁になるかのように立ちはだかる。
「い、樹…」
ど、どうしよう…合わせる顔がない
「話がある。」
まっすぐ私の目を見て静かにそう呟く。
周りには誰にもいないとはいえ、私の隣には緑ちゃんと麦ちゃんがいるわけで、
2人とも私たちの関係を知っているけど、慣れない樹の登場にショート寸前
こんなにも大胆に大学で話しかけてくるなんて…
「わ、私は話すことなんてないっ」
少し強く言いすぎたかな。
ちらっと様子を伺うため見上げると、ひどく傷ついたような顔をする。



