「だって、」


「だって、何?」



ああ、もう今日に限ってどうしてこんな優しいの。


「……」


いつもみたいにバカにして、意地悪してよ。


じゃないと、ふざけた返事ができないじゃん


「はな?」


そうやって愛おしそうに覗き込んでくるの。


もう気持ちが溢れて止まらない


「樹のこと、これ以上好きになったらどうするのっ!?」


勢いに任せて放った言葉



「へ……い、今なんて」




言ってしまった、と自覚したころにはもう遅かった。





驚いた樹の顔、




掴む手が緩んでいた。





「、かっ、帰る!!」




そう叫んで、樹の手を振り払い、急いで鞄を持って樹のマンションを後にした。



どうしよう、あんなのほとんど告白じゃん。



もう取り返しがつかない。



幼馴染には戻れないのかな。



樹に好きな人がいることは分かってるから、せめて幼馴染でいたかったのに。私なんて馬鹿なこと…