まるで芸術品のような美しさに息を呑む
ダメだって、分かってるのに、
「ダメだよね、」
分かってるのに、
無意識に身体が近づいて、
その唇と、私の唇の距離を縮めてしまう。
ああ、私何してるんだろう。
触れちゃダメなのに。
もう少し、当たるか当たらないか、
その瞬間、
「…ん…はな…?」
熱のせいかいつもより潤むその瞳と目が合った
光の速さで樹と距離を取る。
ああ、もう最悪だよ。
「あっの、これは!違うくて!ごめん!」
とにかくもう謝るしかない。
あまりにも綺麗で、無意識にキスしてしまいそうになったなんて言えない。
バカだよ、私、なんであんなこと!
熱があるのは私の方なんじゃないか。
「…なんで謝んだよ」
戸惑いながらも、そういう樹
「だっ、だって!大人気アイドルの寝込みを…」
あんなに今にも触れそうな距離にいたのに、樹は私が何をしようとしてたか分からなかったの?



