タッパーのままレンジにかけちゃいけないとか、諸々教えもらったなんて樹には言えない。
レンゲでお粥を掬いふーふー、と整った唇で冷まし、口に運ぶ樹
「ん、美味しい」
さすがおばさん、って微笑む
お母さんも作った甲斐があるよ。
「うん、よかった。たくさんあるからね!」
まだまだお粥の他にも体に良いものたくさん冷蔵庫にある。
「肉じゃがは?」
「…肉じゃが?」
なんで今、肉じゃが?
確かに樹の大好物だけど、病気の時に食べるようなものじゃないよね?
「あれから一回も作ってくれねえじゃん、はなの肉じゃが好きなのに」
どこか拗ねたような表情に、胸が高鳴る。
「っ、ああ、また作るね」
肉じゃがを作ったことなんて忘れてた
そんなに気に入ってくれてたなんて
「いつ?」
試すような目に息を呑む。
社交辞令なんて許されない、本気でもう一回作らそうとしてる



