終わってしまったら、間違いなくみんなスリポロスに陥ると思う



「てか、こんな重たいの持てないでしょ?持って入るよ!」



「別に、大丈夫だから」



「だめだめ!上がるよ」



樹と扉の間を強引にすり抜けて、玄関で靴を脱ぐ



「ちょ、はな。移るから」


いつも以上に掠れた声が背後から慌てた様子で追いかけてくる



その言葉に思わずため息が溢れる


「はあ、こんな時でも他人の心配?私は大丈夫だから!」



振り返ってそういうと、のぼせたような顔をしている樹


すごくしんどいだろうにいつも他人のことばっかり…


こういう時くらい素直に頼ってほしい



「こっちが大丈夫じゃない…」



「何?」


なんか小さく呟いてたのけど何も聞こえなかった。


なんか難しそうな顔をしてるけどなんだらう。



「いや、なんでない。…熱で変な気起こしそう」



「え?」


今度こそは言葉は聞こえたけど、意味がわからない。


聞き返しても答えてくれないし。