「…芽吹先輩…」


「忘れるために俺と付き合う?」



その目はどうにも辛そうで痛そうな色をしていた。


芽吹先輩と付き合えば樹のことなんとも思わなくなる?


…きっと答えはノーだ



会えなくても、ずっと思い続けてしまうだろう。


絶え間なく側にいた匂いと、抱きしめられた感覚、笑った顔も、意地悪な顔も、頑張ってる横顔も、脳裏に焼きついて離れない。



「ごめんなさい。…それでも付き合えません。思いを伝えるつもりはありません、でもっ、気が済むまで好きでいたいです」


いつになるか分からないけど、


それが明日なのか、半年なのか、10年後なのか、樹が誰かと結ばれる時なのか


幼馴染として、今は側にいたい。


「そっか。……はぁ、2日連続振られた〜」



「あ、え、すみません!」


慌てて謝ると、いつも通りの笑い声が聞こえる


「ははっ良くないけど良い!…アピールはするからね?隙があればいつでも俺んとこ来て」



そう言って笑いかけてくれる芽吹先輩はきっと今無理をしてるんだろうなと、胸が痛くなるけど、それ以上に自分の気持ちは押し殺すことはできなかった。