「それは…確かに…」



そうだアイドルだもんね。


本当に樹に恋してるファンの人はたくさんいる。


だから私の存在も、異性の幼馴染がいるってこと頑なに隠し続けてきたのかもしれないって、芽吹先輩の言葉で今更気付いた



「…私、付き合えるとは思ってないです」


両思いになりたいとか付き合いたいとかは思っていない。


ただ幼馴染という立場を利用してでも樹の側にいたい。


何より一番大きな問題は、


樹には好きな人がいること。



望みがないのならば、


もうこれ以上好きになって、戻れないところまで行く前に、気持ちにストップをかけたい



「俺を利用してくれてもいいよ」



そう言って、微笑む芽吹先輩に少し心が揺らいでしまったなんて、口が裂けても言えない



「…でも、芽吹先輩を傷つけるだけです、」



「うん。傷つくね。」



「じゃあ、」



「でもはなちゃんが、山川樹のことで傷ついて、俺がいることで痛みが和らぐなら、俺は本望だよ」


そんな言葉を惜しげもなく告げられて、胸がぎゅっと狭まる