「はなちゃんが言ってた好きな人ってもしかして山川樹?」
「…はい」
さすが、芽吹先輩、鋭い
私は嘘だって上手くつけないし、本当のことをいうのが正解だと思う
「はぁ、勝ち目ねぇ…」
そう言って、頭を抱える。
そうやって落ち込ませてしまっていることに、少しばかりの罪悪感
馬鹿な私でも流石にわかる。
「でも俺も諦めないから。これからはちゃんと、アピールする」
切なそうに微笑むけど、どこか強い目に、心が揺れる
「それに、山川樹はアイドルでしょ?」
しかもあのSoleのセンターって付け加える。
私は馬鹿だから忘れがちだけど、樹はファンがたくさんいるアイドル
ドームだって埋めてしまうほどで、普通の人なら関わることすら許されない雲の上の存在
「アイドルって、恋愛沙汰とか良くないでしょ?」
その言葉に心が重たくなる



