「ちょっと、樹!あっ、あの…芽吹先輩、ずっと隠しててごめんなさいっ」
もう認めるしかないと深く頭を下げる。
これ以上、樹を喋らさないようにしないと。
「いや…うん、びっくりしてる。予想もしてなかったことだから」
「そうですよね…」
まだ状況が読み込めいない芽吹先輩
放心状態、という言葉がぴったり
「ごめん、俺帰るね。とりあえずこれ、渡しに戻っただけだから。」
そう言って、話していた学園祭で使う備品を私に渡して帰って行った。
樹の存在にパニックになりすぎて、目すら合わせれてなかった芽吹先輩
無理もないよね、あのSoleのセンターである山川樹がいるんだもん
「樹!どうして幼馴染だって言っちゃうのさ!今まで隠してきたのに!」
離れていく芽吹先輩の背中を見つめて、ちゃんと見えなくなったことを確認してから樹にそういう。
言いたいことはたくさんあった、
でも、
「ごめん」
儚く脆く揺れる瞳、弱く細い声
今日はずっと、樹らしくない。



