「ありが、とっ」
「ん」
耳に届く心地よい単調な返事
抱きしめられて安心したのか、震えも、涙も、止まっていた。
「樹の腕の中、落ち着く…」
もっと、って欲張りになって、樹の骨ばった鎖骨に顔を埋める。
風の音も、雨の音も聞こえなくなって、リズムの速い樹の鼓動が聞こえてくる。
ああ、離れたくないな。
「っ、ちょっ、」
擽ったそうに体をよじる樹。
「このまま、ずっといたい…」
ぽつり漏れた本音。
樹がごくっと息を呑むのがわかった
「…それは無理だって」
落ち着いた静かな声
「どうして…?」
ドラマで忙しいもんね。わかってるけど、聞いてしまう私はきっとめんどくさい幼馴染だ。
「俺を殺す気かよ…」
予想外の言葉とため息。
ドラマが理由じゃないの?私と一緒にいると死んじゃうの?
「樹が死んじゃったら、私生きていけないよ?」
「そう言うことじゃなくて…」
見上げていうと、また困った顔をする。
なんか私困らせてばっかり?



