「っ、はな!」
「へっ、」
窓が開く音がして、溢れる涙で滲む暗い世界、樹の声に耳を疑う。
「はなっ、」
「い、つき?」
…幻聴じゃない。
隣の家から窓を伝って、入ってきてくれる樹の姿
う、嘘っ。
「なんで…っ」
「この辺、一帯停電だって」
スマホのライトで私の方を照らす。
逆光になっていて、樹のシルエットしか見えない。
「1週間一人だって言ってただろ。」
急いで来てよかった、って安堵の声に胸がキュンとする。
急いで来てくれたのか、息が上がって、雨に濡れてる
…いつも、こうやって助けてくれるの。
「もう大丈夫だから」
「っ、」
ふわり、ゆるり、その腕に包み込まれて、
感覚全てが、樹に支配される。
触れる腕も、背中も、髪も、もうダメ。
でも、離したくない、
すごく落ち着く



