焦ってる様子で、綺麗な顔は歪む。


その感情は読めない。



「はな、ごめん。俺嫉妬した」



愁を帯びたハスキーな声と、やりきれなさを抱え揺れる眼差し



「し、しっと…?」



「そう。俺のことだけ見てほしくて」



「っ、」



表情が変わり艶やかな笑みをこぼす樹に、心が強く惹きつけられる。




「他の男に靡くな」



幼馴染の私にそんな独占欲を告げて、たやすく心を乱す。



なんで、私にそんなこと…嫉妬なんてするの?



バカな私はどれだけ考えても分からないまま



シングルタスクな私の脳みそはテストで樹と共に、単位を落とさないようにすることに必死で、樹のその様子のおかしい言葉すら一瞬で忘れていた。