「仕事は…っ?」
「どう考えたってはなが一番大事だろ。」
神の手小枝さんを使った、って呟く。
「っ、」
まだ、手は握ったまま。
仕事を調整して、こんな格好してまで私のこと助けに来てくれたのっ?
ダメだ、なんかドキドキして波打つ鼓動を抑えることができない。
「俺のせいで、こんなに震えてるんだろ」
私の手を握り直して、震えを確かめる樹。
「ちがう!樹のせいじゃ!」
「怖い思いさせてごめんな」
宝物を触るみたいに触れられるこの空間がくすぐったい。
「ううん、自分のせいだから。私の方こそごめんなさい」
5年も経ったし、もう何もされないってそう思って、自分の判断で同窓会に行ったんだもん。
大学だってよく考えれば分かるのに、自分で話したんだもん。
…結果、何も大丈夫じゃなかったんだけど。
「はなは人を信じ過ぎ。もっと疑って。」
「そんなの難しいよ…」
誰が何考えてるかなんて、全然分かんないもん。



