ハニー メイド ヘヴン

チェーンネックレスに通して首から下げた隆二の指輪。年季の入ったシルバーリング。いつもは服の下だけど今日は特別。

一緒に見届けて。オレの代わり、って一番最初に隆二がくれた宝物なんだから。

高く醒めた空を仰ぎ、戻した視線が何気なく止まる。さっきの縁台よりもっと手前、池を囲む小道に佇んだ背中。別の式の出席者だろう。

お兄の披露宴で貸し切った料亭にも小さい池があった。独りでいたあたしに声かけた軽そうな男が、運命まで変えるなんて思ってもなかった。走馬灯のように蘇る。笑い方も話し方も、目の細め方も。

見知らないその男性を無遠慮に見下ろしてると、少し斜めに体がこっちを向き上着の内側を探る。咥えた煙草に下向きで火をつけ、紫煙を逃す仕草。

釘付けになって何かが爆ぜた。

ソンナハズ、ナイ。

途端、草履をはいた足が踵を返してた。