ハニー メイド ヘヴン

誰もいなくなり、留袖を着崩さないようにゆっくりソファから立ち上がると、解放感のある大きな窓辺から外を眺める。散策もできる雅な日本庭園が見渡せ、赤い毛氈を敷いた縁台に腰かけて談笑する礼服姿も遠目に映った。

二十三年って。数字だけ聞くと長く思える。隆二がいなくなってそんなに経つんだ・・・って。でも、チビ怪獣達が這い這いしてたのはついこの間の気がするし。

ねぇ隆二。アリサの花嫁姿を見たら、あたしにも着せとけばよかったって後悔するんじゃない?

隆二はあたしが大事だったから結婚しなかった。自分がいつどうなるか分からないから、形で縛らなかった。でも持ってたモノを全部くれた。愛も時間もありったけ。

願いごとも全部叶える約束だったのに。『帰ってくる』って最後の願いは、いま叶えてくれればいいのに。こっそりチャペルで、あたしと隆二の結婚式の真似事くらい付き合ってくれていいのに。年甲斐もなく小さく頬を膨らませた。

隆二の消息を知っていそうな伊沢さんとお兄は、忘れろとも待つなとも言わない。逢えなくても、どこかで生きてるなら耐えられる。絶望しない。だからあたしは待つの。