ハニー メイド ヘヴン

極道の娘に生まれたあたしの世話係だった志田。最後になにを話したのかも憶えてないくらい、当たり前の存在で。でもこうして生きてるのは、あのお節介焼きの不愛想男が、渡りかけた三途の川であたしだけ追い返したに違いないの。

どうせ毎日あの世から覗き見してるわよ。あたしがそっちに逝くときも勝手に迎えに来るんでしょ。ひとり笑い。

プランナーさんはもちろん知らないけど、千倉も臼井もそろって家は極道だ。披露宴は変に怪しまれないよう身内だけでこじんまりと。

臼井家は由緒正しい老舗極道だから、このあとは組の関係者を大勢招待したお披露目が待ってるそう。当人達は余韻に浸ってるヒマもないって嘆いてたっけ。

ちなみに千倉家は、あたしも兄同然に慕ってる伊沢さんが店主をしてる小料理屋を貸し切り、みんなで勝手にアリサの門出を祝う予定。

組を継いだお兄ともなかなか会えなくなってたし、今日はただの妹に戻って存分に甘やかしてもらうつもりだ。また不治の病(ブラコン)が再発した、って秋生ちゃんに呆れられるかも。