「どんな隆二でも、隆二は隆二のままでもいいわ。これから行くところが地獄でも天国でも、二人でいれば楽園だから」

心から素直にあたしは笑った。隆二はやんわり眼を細めると、顔を寄せて唇を盗む。

「梓を独り占めするのがオレの楽園」

「好きなだけどうぞ?」

「閉じ込めて、めちゃくちゃに壊して可愛がっても?」

望むところよ。あたしから腕を伸ばし、隆二の首に巻き付ける。

帰らない男を待って命を終えるあたしを、お兄や伊沢さんは不憫に思って男泣きするかもしれない。

もうちょっと長生きできたら、子供達に及第点もらえる母親になれたかしらね。

あとのことは一番分かってくれてる秋生ちゃんに任せて、全部置いてく。