ステンドグラスの高い天井、台座に据えられた聖母マリア像。空気が厳かで、ただ静かに祈りを捧げたくなるような。
「そろそろ時間だから行こっか」
グローブを持っていない掌がやんわり差し出されたのを。そこに自分の手を重ねかけて止まる。覚悟はついてる。そうじゃないの、心残りがどうしても一つ。
「・・・式の前に有紗におめでとうを言うつもりだったの」
控室で白無垢の娘の手をぎゅっと握りしめて、『幸せになりなさい』って母親らしい科白で締めくくろうと思ってたの。
「もったいぶらないで早く言えばよかった・・・っ」
途端に込み上げ、涙が溢れる。どうしようもないのは分かってて自分が口惜しい。運命が悔しい。
小さくしゃくり上げて泣くあたしの目尻を隆二の指が何度も拭い、「・・・じゃあ、あと一個だけ手品を見せよっか」と少し遠くから声が聞こえた。
「そろそろ時間だから行こっか」
グローブを持っていない掌がやんわり差し出されたのを。そこに自分の手を重ねかけて止まる。覚悟はついてる。そうじゃないの、心残りがどうしても一つ。
「・・・式の前に有紗におめでとうを言うつもりだったの」
控室で白無垢の娘の手をぎゅっと握りしめて、『幸せになりなさい』って母親らしい科白で締めくくろうと思ってたの。
「もったいぶらないで早く言えばよかった・・・っ」
途端に込み上げ、涙が溢れる。どうしようもないのは分かってて自分が口惜しい。運命が悔しい。
小さくしゃくり上げて泣くあたしの目尻を隆二の指が何度も拭い、「・・・じゃあ、あと一個だけ手品を見せよっか」と少し遠くから声が聞こえた。



