去年もそうだったが、経理が本当に忙しくなるのは勿論、決算の3月は当然忙しいのだが、それ以上にその決算の仮締め、本締め。その前年度決算を元に今期の予算振り分け、法人税の締め切り、株主総会と続く4月から6月末までが本番だった。
「その前に、また要らないゴールデンウィークか……」
そうだった。本当に、ゴールデンウィークの前後は忙しい真っ直中。高橋さんが言う通り、要らないゴールデンウィークという意味が本当によく分かる気がする。
「ゴールデンウィークは、何処かに出掛けるのか?」
「5月始めに、ちょうど父の四十九日になるので納骨なんです」
早いもので、あと1ヶ月も経たないうちに父の四十九日だった。
「そうか。もうそんな時期か……早いな」
「はい。でも、これでやっと母も落ち着けると思います。その節は、本当にお世話になりました」
すると、高橋さんも黙ってお辞儀をしてくれた。
いけない。
せっかく食事に誘ってくれたのだから、なるべくしんみりしないようにしなくちゃ。
「どんなお料理が出てくるのか、楽しみですね」
「フッ……そうだな。楽しみっていうより、お前はお腹が空いてるんじゃないのか?」
「あっ。バレちゃいました?」
あれから、出来るだけ明るく振る舞っていた。
父の死からまだそんなに経っていないのに、とても昔のように感じられる。たとえ毎日会っていなかったとしても、居る人が居ないというのは何だか変な感じがする。居るべき所にその人が居ない。いつも居たはずのその場所に行っても、もうその人は居ない。決して、忘れてしまったわけではないのに遠い昔のことのように思えるのは何故だろう。忘れることなんて出来るはずもなく、されど想い出が多すぎて思い出しただけでも胸が苦しくなったり、懐かしく思えたり。でも、思い出されるのは楽しかったことばかり。
「その前に、また要らないゴールデンウィークか……」
そうだった。本当に、ゴールデンウィークの前後は忙しい真っ直中。高橋さんが言う通り、要らないゴールデンウィークという意味が本当によく分かる気がする。
「ゴールデンウィークは、何処かに出掛けるのか?」
「5月始めに、ちょうど父の四十九日になるので納骨なんです」
早いもので、あと1ヶ月も経たないうちに父の四十九日だった。
「そうか。もうそんな時期か……早いな」
「はい。でも、これでやっと母も落ち着けると思います。その節は、本当にお世話になりました」
すると、高橋さんも黙ってお辞儀をしてくれた。
いけない。
せっかく食事に誘ってくれたのだから、なるべくしんみりしないようにしなくちゃ。
「どんなお料理が出てくるのか、楽しみですね」
「フッ……そうだな。楽しみっていうより、お前はお腹が空いてるんじゃないのか?」
「あっ。バレちゃいました?」
あれから、出来るだけ明るく振る舞っていた。
父の死からまだそんなに経っていないのに、とても昔のように感じられる。たとえ毎日会っていなかったとしても、居る人が居ないというのは何だか変な感じがする。居るべき所にその人が居ない。いつも居たはずのその場所に行っても、もうその人は居ない。決して、忘れてしまったわけではないのに遠い昔のことのように思えるのは何故だろう。忘れることなんて出来るはずもなく、されど想い出が多すぎて思い出しただけでも胸が苦しくなったり、懐かしく思えたり。でも、思い出されるのは楽しかったことばかり。

