そう言えば……新入社員の時もそうだった気がする。今と同じように、朝礼で高橋さんが挨拶している時に目が合った気がしていた。
きっと、私はあの時からもう高橋さんに恋をしていたのかもしれない。
入社したばかりの頃、幼稚な考えから会社に行きたくなくて、休んでしまった私を迎えに来てくれた高橋さん。
駅まで歩いていく途中、何のために働いているのか? と聞かれて……。
人事に異動して、そのショックから立ち直れないでいるうちに高橋さんがニューヨークに行ってしまった。
高橋さんが、ニューヨークから帰ってきてくれてどんなに嬉しかったか。
あの頃は、何も考えずに高橋さんが好きで、ただそれだけで良かった。でも、高橋さんには……。
「矢島さん」
エッ……。
肩を叩かれて、我に返った。
「ちょっと時間がないから、途中だけどこれから税務署に行って来る。朝礼が終わったら、高橋さんにも言っといてくれる? 14時位には戻れると思うから」
「はい」
小声で話しながら、中原さんは朝礼を抜けて出掛けていった。
朝礼が終わってから、そのことを高橋さんに報告して1日が始まったが、月曜日ということもあって電話も鳴り止まず、中原さんが居ない分、電話応対におわれている。でも、それ以上に高橋さんは忙しそうで、フル回転だった。
間髪入れずに鳴り出す電話と書類の山と格闘していると、むせるようなきつい香水の香りが漂ってきた
「高橋さぁん」
エッ……。
誰?
受話器を置いて顔を上げると、あまり会いたくない人の姿があった。
うっ。
紺野さんだ。
「今日から、総務に配属になったんですの。また、よろしくお願いしまぁす」
う、嘘。
まゆみのところじゃない。
きっと、私はあの時からもう高橋さんに恋をしていたのかもしれない。
入社したばかりの頃、幼稚な考えから会社に行きたくなくて、休んでしまった私を迎えに来てくれた高橋さん。
駅まで歩いていく途中、何のために働いているのか? と聞かれて……。
人事に異動して、そのショックから立ち直れないでいるうちに高橋さんがニューヨークに行ってしまった。
高橋さんが、ニューヨークから帰ってきてくれてどんなに嬉しかったか。
あの頃は、何も考えずに高橋さんが好きで、ただそれだけで良かった。でも、高橋さんには……。
「矢島さん」
エッ……。
肩を叩かれて、我に返った。
「ちょっと時間がないから、途中だけどこれから税務署に行って来る。朝礼が終わったら、高橋さんにも言っといてくれる? 14時位には戻れると思うから」
「はい」
小声で話しながら、中原さんは朝礼を抜けて出掛けていった。
朝礼が終わってから、そのことを高橋さんに報告して1日が始まったが、月曜日ということもあって電話も鳴り止まず、中原さんが居ない分、電話応対におわれている。でも、それ以上に高橋さんは忙しそうで、フル回転だった。
間髪入れずに鳴り出す電話と書類の山と格闘していると、むせるようなきつい香水の香りが漂ってきた
「高橋さぁん」
エッ……。
誰?
受話器を置いて顔を上げると、あまり会いたくない人の姿があった。
うっ。
紺野さんだ。
「今日から、総務に配属になったんですの。また、よろしくお願いしまぁす」
う、嘘。
まゆみのところじゃない。

