やっとまた寝る体勢になった時には、もうグッタリしてしまっていた私の体をもう一度高橋さんがギュッと抱きしめた。
「覚えておいてくれ。たとえ、それが遠回りをしているように他人からは見えたとしても。その思考が、突飛で滑稽に見えたとしても。万人が、その行動を道化師のようだと思ったとしても。俺が、お前にちゃんと向き合える時が来たら……その時は、お前のすべてを貰う」
高橋さん……。
大胆にも面と向かって高橋さんに告白をしてしまい、恥ずかしくて仕方がなかったが、思いも寄らない高橋さんの言葉に、理解するのに少し時間が掛かった。
『その時は、お前のすべてを貰う』
お前のすべてを貰う?
エッ……。
嘘。
もう、恥ずかし過ぎる。これから、どうしよう。
ああでもない。こうでもないと、いろんなことを想像して妄想の世界に入り込んでしまい、現実の世界に居ながら既に半分以上寝ている状態だった私は、うとうとしながら高橋さんの声がだんだん遠のいていくことに気づいていなかった。
「そう遠くないかもな」
「えっ? 何……ですか? 何が……高橋……さん」
高橋さんが何か話し掛けてくれていたけれど、遠くで声がしていて途切れ途切れでよく聞き取れない。
高橋さん……。
それから間もなく、深い眠りに就いてしまっていた。