酷い顔。目の下に、くまが出来ている。
ファンデーションで隠して、少しでも分からないようにしないと。この1週間、殆ど鏡なんて見てる暇もなかった。
そういえば、高橋さんはご飯を食べて来るのかな? この時間だから、まだ食べてないかもしれない。
先々週の土曜日は、高橋さんの家で明良さんと仁さんとランチを食べたんだった。そして、先週は……あれからまだ1週間なんだ。とても、遠い昔のような気がする。
ピンポーン。
高橋さんが言っていたとおり、電話が来てから30分後ぐらいにインターホンが鳴ったので、確信しながら受話器を取ると、やはり高橋さんだった。
玄関のドアを開けると、いつもと同じように高橋さんは左の壁にもたれ掛かっていた。
「こんばんは」
「こんばんは。出掛けるから支度して」
「えっ?」
想像していた言葉とは、まったくと言っていいほど違っていた。
てっきり、元気だったか? とか、大丈夫か? とか、落ち着いたか? とか。その手の言葉を掛けてくれるんじゃないかと思い、優しい言葉を掛けられても泣かないようにしなくちゃと気を張っていたのに。しかし、そんな台詞は何処かにすっ飛んでしまったみたいに、まったく思いも寄らない 『出掛けるから支度して』 だった。
「出掛けるって……何処に行くんですか?」
高橋さんには申し訳ないが、まだそんな気分にはとてもなれない。
「いいから、早く」
「は、はい」
何となく気乗りしないまま支度をして、下で待っているからと言って先に出て行った高橋さんの後を追った。
いったい、何処に行くんだろう?
車の中で高橋さんとあまり会話がなかったので、高橋さんの車に乗っている安心感と、まだ疲れが残っていたせいか眠くなってきてしまった。
信号待ちで、高橋さんがこちらを見た。
「寝てていいぞ」
きっと、眠そうな顔をしていたに違いない。
「あっ。大丈夫です」
そうは言ったものの、いつの間にか助手席で眠ってしまい、車のバックギアに入れた音で目が覚めて慌てて辺りを見回すと真っ暗だった。
ファンデーションで隠して、少しでも分からないようにしないと。この1週間、殆ど鏡なんて見てる暇もなかった。
そういえば、高橋さんはご飯を食べて来るのかな? この時間だから、まだ食べてないかもしれない。
先々週の土曜日は、高橋さんの家で明良さんと仁さんとランチを食べたんだった。そして、先週は……あれからまだ1週間なんだ。とても、遠い昔のような気がする。
ピンポーン。
高橋さんが言っていたとおり、電話が来てから30分後ぐらいにインターホンが鳴ったので、確信しながら受話器を取ると、やはり高橋さんだった。
玄関のドアを開けると、いつもと同じように高橋さんは左の壁にもたれ掛かっていた。
「こんばんは」
「こんばんは。出掛けるから支度して」
「えっ?」
想像していた言葉とは、まったくと言っていいほど違っていた。
てっきり、元気だったか? とか、大丈夫か? とか、落ち着いたか? とか。その手の言葉を掛けてくれるんじゃないかと思い、優しい言葉を掛けられても泣かないようにしなくちゃと気を張っていたのに。しかし、そんな台詞は何処かにすっ飛んでしまったみたいに、まったく思いも寄らない 『出掛けるから支度して』 だった。
「出掛けるって……何処に行くんですか?」
高橋さんには申し訳ないが、まだそんな気分にはとてもなれない。
「いいから、早く」
「は、はい」
何となく気乗りしないまま支度をして、下で待っているからと言って先に出て行った高橋さんの後を追った。
いったい、何処に行くんだろう?
車の中で高橋さんとあまり会話がなかったので、高橋さんの車に乗っている安心感と、まだ疲れが残っていたせいか眠くなってきてしまった。
信号待ちで、高橋さんがこちらを見た。
「寝てていいぞ」
きっと、眠そうな顔をしていたに違いない。
「あっ。大丈夫です」
そうは言ったものの、いつの間にか助手席で眠ってしまい、車のバックギアに入れた音で目が覚めて慌てて辺りを見回すと真っ暗だった。

