「此処で、待っているから」
「高橋さん」
「いいから早く行きなさい。申し訳ありません。お願いします」
「では、こちらでお待ち下さい」
看護師に高橋さんは私の背中を押して挨拶すると、看護師も軽く会釈をして自動ドアの中へ私の肩を優しく押すようにして連れて行ってくれた。
言われたとおり、手洗いとうがいを済ませて急いで白衣とマスクを着用して自動ドアが開いて中に入ると、ICUの中はとても広く、ベッドが何床もカーテンも仕切っていないまま並んでいて、色々な機械や点滴のスタンドが何本もベッドの周りを取り囲んでいた。見るからに重篤な患者が寝ているのが視界に入ってきて、よくテレビドラマで見るような人工呼吸器を付けている人も多く、この部屋の患者の病状の重さを物語っている。
「あちらです」
お父さんは、何処?
早る気持ちを抑えながら奥の方に進んでいくと、1番奥のそこだけベッドサイドのスタンドライトが付いている場所に、母と姉がベッドの脇に立っているのが見えた。
嘘でしょう?
ベッドに寝ている人の横顔を見ると、やはり父に間違いない。遠くから見ても見間違うはずもない、紛れもなく父だ。
慌ただしく、医師と看護師が何か処置を父にしているのが遠くからでも見える。
「お父さん……」
急いで、ベッドサイドに駆け寄った。
「陽子……」
「お母さん。お姉ちゃん。お父さん、いったいどうしたの? お父さん!」
母と姉に問い掛けながら父の枕元に近づき呼びかけたが返事はなく、父の顔を間近でみても眠ったまままったく動かない。
「どうしちゃったの? お父さん」
「ご飯を食べていたら、急にお箸を持ったままテーブルの上に寝ちゃって……それで慌てて救急車を呼んだんだけど……」
母は、そこまで言うのがやっとで、後は言葉にならなかった。
「急性肝不全だそうよ」
姉が、静かに私に告げた。
「急性肝不全? 何で? あんなに元気だったじゃない。どうして、急にこんな……」
「陽子。ちょっと、いい?」
「えっ? でも……」
「高橋さん」
「いいから早く行きなさい。申し訳ありません。お願いします」
「では、こちらでお待ち下さい」
看護師に高橋さんは私の背中を押して挨拶すると、看護師も軽く会釈をして自動ドアの中へ私の肩を優しく押すようにして連れて行ってくれた。
言われたとおり、手洗いとうがいを済ませて急いで白衣とマスクを着用して自動ドアが開いて中に入ると、ICUの中はとても広く、ベッドが何床もカーテンも仕切っていないまま並んでいて、色々な機械や点滴のスタンドが何本もベッドの周りを取り囲んでいた。見るからに重篤な患者が寝ているのが視界に入ってきて、よくテレビドラマで見るような人工呼吸器を付けている人も多く、この部屋の患者の病状の重さを物語っている。
「あちらです」
お父さんは、何処?
早る気持ちを抑えながら奥の方に進んでいくと、1番奥のそこだけベッドサイドのスタンドライトが付いている場所に、母と姉がベッドの脇に立っているのが見えた。
嘘でしょう?
ベッドに寝ている人の横顔を見ると、やはり父に間違いない。遠くから見ても見間違うはずもない、紛れもなく父だ。
慌ただしく、医師と看護師が何か処置を父にしているのが遠くからでも見える。
「お父さん……」
急いで、ベッドサイドに駆け寄った。
「陽子……」
「お母さん。お姉ちゃん。お父さん、いったいどうしたの? お父さん!」
母と姉に問い掛けながら父の枕元に近づき呼びかけたが返事はなく、父の顔を間近でみても眠ったまままったく動かない。
「どうしちゃったの? お父さん」
「ご飯を食べていたら、急にお箸を持ったままテーブルの上に寝ちゃって……それで慌てて救急車を呼んだんだけど……」
母は、そこまで言うのがやっとで、後は言葉にならなかった。
「急性肝不全だそうよ」
姉が、静かに私に告げた。
「急性肝不全? 何で? あんなに元気だったじゃない。どうして、急にこんな……」
「陽子。ちょっと、いい?」
「えっ? でも……」

