食事が終わって高橋さんが時計を見たので、私も自分の時計を見ると20時少し前だった。
「20時になるから、そろそろ行こうか?」
「はい。あの、今日は私が」
「……」
「高橋さん! ガソリン代だって、いつもお支払いしていないし」
「誰が、ガソリン代よこせって言ったぁ?」
「そ、それは……それは、言ってないかもしれませんが、でもそれだと困るんです」
「どう困るんだ?」
「私が困るんです」
「知ったことか」
はい?
またしても、お勘定で揉めて……。
でも、高橋さんは頑なに今日も払わせてくれなかったので、車に乗ってからもブツブツ言っていると、突然バッグの中で携帯が鳴り始めた。
あっ。
家を出る前、高橋さんから電話が来ると思って着信音をONにしていたけれど、出掛ける時に慌てていてバイブにするのを忘れちゃってた。
「すみません」
断って電話に出ようとしたら、黙ってカーステレオのボリュームを下げてくれた。
高橋さんのさり気ない、こういう気配りが好きだな。
そんなことを感じながら携帯の画面を見ると、電話の主は母からだった。
お母さん。
珍しいな、こんな時間に何だろう?
きっと、また週末ぐらい帰って来なさいって言われるのかな。
「もしもし」
いつもの調子で出た電話だったが、受話器越しに聞こえてきた母の声は、いつもの母の声とは違っていた
「20時になるから、そろそろ行こうか?」
「はい。あの、今日は私が」
「……」
「高橋さん! ガソリン代だって、いつもお支払いしていないし」
「誰が、ガソリン代よこせって言ったぁ?」
「そ、それは……それは、言ってないかもしれませんが、でもそれだと困るんです」
「どう困るんだ?」
「私が困るんです」
「知ったことか」
はい?
またしても、お勘定で揉めて……。
でも、高橋さんは頑なに今日も払わせてくれなかったので、車に乗ってからもブツブツ言っていると、突然バッグの中で携帯が鳴り始めた。
あっ。
家を出る前、高橋さんから電話が来ると思って着信音をONにしていたけれど、出掛ける時に慌てていてバイブにするのを忘れちゃってた。
「すみません」
断って電話に出ようとしたら、黙ってカーステレオのボリュームを下げてくれた。
高橋さんのさり気ない、こういう気配りが好きだな。
そんなことを感じながら携帯の画面を見ると、電話の主は母からだった。
お母さん。
珍しいな、こんな時間に何だろう?
きっと、また週末ぐらい帰って来なさいって言われるのかな。
「もしもし」
いつもの調子で出た電話だったが、受話器越しに聞こえてきた母の声は、いつもの母の声とは違っていた

