新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

「ああ、スッキリンコ」
そう言うと、ポン! ポン! と、私にソファーの隣に座るよう左手でソファーを叩いたので、素直にそれに従うように椅子から立ち上がって高橋さんの隣に座った。
「今日で、出張も終わりだなぁ……うぅーん……」
高橋さんが両手を上に挙げて、大きく伸びをしている。
すると、着ていたTシャツの裾がもちあがって、チラッとウエストの部分の素肌が見えた。
キャッ!
み、見えちゃった。
あっ……
それと同時に、脳裏をあることが過ぎった。
「うわっ。 な、なんだよ、お前」
急に確かめてみたくなり、ワインで少し酔っていた勢いも手伝って、自分でも予想外の大胆な行動に出てしまった。
土屋さんが前に言っていた、高橋さんのお臍のところにあるという黒子。 
あの時、高橋さんは 『そもそも、お前は俺のお臍に黒子があるって知ってるのか?』 などと言っていたけれど、実際に確かめたわけではなかった。 
何となくあの時は、はぐらかされたような感じがして、もう1度きちんと自分の目で確かめてみたかった。 
勿論、高橋さんのことだから信じてはいたけれど、でも何だか急に確かめたい衝動にかられてしまった。
昨日は、そんな余裕もなくて確かめることすら考えも及ばなかったし……。
今だったら、確かめられるかも?
そう思って、高橋さんのTシャツの裾を勢いよく捲った。
「あっ……」
捲ったTシャツを静かに下ろしながら、恐る恐る高橋さんの顔を見る。
「フッ……そんなもんだよ」
「キャッ!」
高橋さんのTシャツの裾を持ったまま、いきなりソファーに押し倒されてしまった。
うわっ。
真上に、高橋さんの顔が迫っている。
「ハン! 随分、舐めた真似してくれるジャン?」
「あ、あの、こ、これはですねぇ……」
すると、高橋さんは私の顎を持って怪しげに微笑んだ。
「ちょ、ちょっと、高橋さん。 起こして下さい」
「お前。 男の裸見たらどうなるかって、この前学習したよな?」
うっ……。
「そ、それは……違うんですよ。 ちょっと、確かめたかっただけですから。 アハハ……」
笑って誤魔化したが、まったく通用していない。
「まして、お前から襲ってきたんだぜ?」
「な、何、言ってるんですか。 襲ってなんか……」
高橋さんが、私の左頬を右手で包み込む。