新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

高橋さんに悟られたら、また何を言われるか分からない。
「な、何でもないです。 ほ、本当に、シチューもピザも美味しいですねぇ。 このシチューの具も、柔らかくて美味しいです」
慌ててピザを頬張りながら、シチューの具材を見るふりをして下を向いた。
きっと、顔が真っ赤だ。
結局、シチューは全部食べられたが、ピザは半分ぐらい残してしまったので、高橋さんが宣言通り残りの半分を手伝ってくれた。
やっぱり、関取並みの胃袋の持ち主だ。
お店を出て、高橋さんが行きたい所があるということだったので、お腹も一杯だしゆっくり休日のNew Yorkを満喫しようと、一旦ホテルに戻って車を置いて五番街へと向かった。
歩きながら、ショップごとのホリデーウィンドウの飾り付けに目を奪われてばかりで、なかなか先に進めない。
道行く人達の感嘆の声が、あちらこちらから聞こえてくる。
中でも、Bergdorf Goodmanのホリデーウィンドウの飾り付けには、かなりの人だかりが出来ていて、順番を待ちながら徐々に前に進んでショーウィンドウの目の前まで来ると、その芸術性に圧倒されてしまった。
ホリデーウィンドウというよりも、もはや美術館に展示されているようなアートと言った方が良いぐらいだ。
「魔法のデパートと言われる所以、そのものだな」
高橋さんも、その芸術的なホリデーウィンドウに感動している。
New Yorkって、何て大人な街なんだろう。
「New Yorkって、大人な街ですね」