新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

焦りながら、慌てて顎を持っている高橋さんの左手を全力で引き離した。
「ハハッ……。 冗談、冗談。 楽しみは、夜にとっておく」
高橋さんは、笑いながらベッドから降りると部屋から出て行った。
からかわれた?
で、でも……何?
楽しみは、夜にとっておくって……。
ま、まさか……。
嘘っ。
わ、私、どうなっちゃうの?
まだ、ウォーミングアップだって高橋さん言ってたのに、すでにこんな腰砕けになっちゃっている。
いったい、高橋さんが全開になったらどんなになっちゃうの?
私、生きていられるかな?
そんなことを考えていたら、落ち着かなくなってしまった。
暫くすると、高橋さんがマグカップを2つ持って寝室に戻って来て、カップをサイドテーブルに一旦置くとカーテンを開けた。
コーヒーの良い香りと共に朝陽が部屋の中に射し込んで、暖色のオレンジ色の朝陽が真冬なのに暖かさを運び込んでくれる。
「はい」
「ありがとうございます」
起き上がってマグカップを受け取ると、高橋さんが枕を重ねて私の背中に入れてくれた。
ベッドに並んで座りながら、高橋さんと一緒にモーニングコーヒーを飲む。
憧れて止まないNew Yorkの朝を、高橋さんと共に……。
何て、至福の時なんだろう。
それなのに……私の頭の中は、さっきのことが頭から離れなくて落ち着きがない。
何てことだ。
「なぁに、落ち着かないの?」
うっ!