新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

「多分、貴女のパートナーと一緒だと思います」
「えっ?」
高橋さんが、キャサリンさんと?
辺りを見渡したが、やはり高橋さんとキャサリンさんの姿は見当たらない。
「何処に行ってしまったんですか?」
「分かりません」
何処に行ってしまったんだろう?
高橋さんとキャサリンさんは、一緒に今も居るのだろうか?
暫くエディさんの隣に座っていたが、気になって、気になって仕方がない。
「ちょっと、失礼します」
会場内を歩きながら高橋さんを何気なく捜してみたが、何処にも高橋さんの姿は見当たらない。 キャサリンさんも居ない。
途方に暮れて、トイレにでも行こうと会場を出た。
トイレでメイクを直して気分転換をはかってホールを横切りながら歩いていると、ガラス張りの中庭があって沢山の綺麗なバラが咲いているのが見えた。
日本では見たことのないような色鮮やかな大輪のバラがあちらこちらに咲き誇っていてライトアップもされていたので、バラの大好きな私はまるで吸い寄せられるように中庭のドアを開けて外に出た。
真冬にバラなんて、素敵だし綺麗……。
アーチ状になったつるバラや、手入れの行き届いた珍しい品種のバラの数々が、温室内の辺り一面に色とりどりに咲き誇っている。
ほんのりとバラの芳香が漂って、見渡す限り全てバラという贅沢さ。 昔読んだ童話や絵本に出てくるような、メルヘンの世界にでも迷い込んだようだ。
やっぱり、バラって大好きだな。
珍しい見事なバラが見られて、幸せな気分。
「TAKA……」
エッ……。