新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

それにしても、何で私が子供服の試着なんか……。
まだ時間があるから、遊んでいるのかな?
まさかね……。
それにしても、子供用でぴったりだなんてショック。
私のサイズは、こっちだと子供用でも大丈夫なんだと実感させられて、何だか恥ずかしかった。
もうちょっと、背が欲しかったな。 今更願っても、始まらないことだけど……。
そんなことを考えながら着替えてフィッティングルームを出ると、高橋さんの姿が見当たらなかったが、直ぐにこのショップの袋を持って現れた。
「あっ! 何か、買われたんですか?」
「ん? ああ。 さっきお前が着てた、ドレスワンピース」
「そうだったんですか」
あのドレスワンピース、買ったんだ。
きっと、姪御さんとかのかな?
「姪御さんの身長って、私ぐらいなんですか?」
「何だ? その姪御さんって。 これ、お前が今夜着るんだよ」
「えっ……わ、私?」
何で?
「レセプションで着ていたスーツでもいいが、今日は特別な」
特別って……。
「靴は、いつも履いてるあの黒のヒールのがぴったりだからいいだろ?」
「高橋さん。 あの……」
そんなの困る。
「ん?」
横に並んで歩いている高橋さんと、顔を見合わせた。
「私……そんなにお金ないです。 分割にして頂かないと払えないんですけど、それでもいいですか?」
このワンピースドレスの値段も分からないけれど、きっと私の1ヵ月のお給料では全額直ぐには払えないと思う。
「フッ……。 何だ? その分割って。 これは、俺がお前に勝手に買ったの。 だから、何も心配しなくていい」
「そ、それは困ります。 ちゃんと時間掛かっても、必ずお返ししますから」
いくらなんでも、それは困る。
着る度に思い出しそうで、何だか気が引けてしまう。
「いいんだ。 俺の自己満足? 女性は、レセプション等では綺麗に着飾ったりするが、お前はこういったシックなのが良く似合うしな」
「高橋さん……」
高橋さんの優しさと、申し訳ないという思いで何とも言えない気持ちになった。
「そうだ。 ちょっと……」
エッ……。