新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜

うわっ。 可哀想。
キャサリンさんの彼氏のエディさんという人、酷い言われようだ。
「だから、陽子ちゃん。 金曜日は、頑張ってね。 勿論、私も行くけど」
山本さんは、満面の笑みを浮かべながらウィンクをした。
「はぁ……山本さん。お願い出来ないですか?」
「はぁあ?」
高橋さんと山本さんに、同時に言われてしまった。
「私は、もうパートナー決まってるから駄目よ」
「そ、そうなんですか」
「そう。だから、頑張ってね」
「はい……」
そうは言ったものの、自信も何もない
でも、山本さんは誰と一緒に行くんだろう?
素朴な疑問なんだけれど、お相手は男性? 
それとも、女性?
やっぱり、男性だよね?
あれ、女性? 
どっちなのか、分からなくなっちゃった。 
高橋さんのパートナーという、責任重大な役を仰せつかったというのに、山本さんのパートナーの性別がどちらなのか等と、そんな呑気なことを考えていたら、まだまだ先のことと思っていた金曜日に、あっという間になってしまった。
今回の出張でやらなければいけなかった仕事も、高橋さんの無駄のない時間配分で全て終わっていた。
そのお陰で当日はフリーになったので、朝は少しゆっくりしようと高橋さんと遅い朝食を食べてから、のんびりニューヨークの街を散策していると、ふと一軒のショップのショーウィンドウの前で高橋さんが立ち止まった。
「ちょっと、入ろう」
エッ……。
そこは、大人っぽいけれど子供服のショップだった。
高橋さんと、子供服?
何だか、ミスマッチな気がする。
誰か、知り合いの方のお土産でも買うのかな。
「Hellow!」
中に入ると、店員がにっこり微笑んでくれた。
高橋さんは、その店員に何か尋ねたみたいだったが、店員は一言、二言、高橋さんに告げるとその場から居なくなった。
何を高橋さんは、尋ねたんだろう?