1枚のメモを頼りに電車をいくつも乗り継いだ。 財布の中には数十円しかないから、バスにも乗れない。 駅員さんに教えて貰った生まれてはじめて見る道を1人歩き続ける。 メモに書かれた"柏崎(かしわざき) 幸太郎(こうたろう)"という名前を口にすると、知らない人はいなかった。 皆、教えてくれた。 ある人は私を哀れむような目で、 ある人はジロジロと好奇な瞳で、 親切そうな人には"行かない方がいい"とも助言してくれた。 でも、私は他に行くところなんて無いからーー。