【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

「なにって、どうみてもニーナちゃんとお話中でしょ。無粋だなあ」

 今まで聞いたことがないほど低く静かな怒りを含んだ声のロルフが腰の剣に手をかけた。気付いたミカエルはさっと降参のポーズをとる。

「わかったわかった。剣術じゃ僕は敵わない。大人しく退散するよ。空のデートにも彼女を誘わない」
「は? デート?」

 ロルフの声が一段と低くなる。
 そんなの誘われていない。そうニーナが反論する隙を与えずミカエルは跳ねるようにこの場から立ち去ろうとする。

「ねえニーナちゃん。不思議だと思わない? 極悪王子と呼ばれて群がってきた女を蹴散らしてきたロルフがさあ。どうして君にぴったりのドレスを持っているのか。随分急いで仕立てさせたんだね、お針子達が泣いてるんじゃないかなあ」

 そう揶揄う言葉だけを残して、ひらりといなくなってしまった。


 調香室に残されたロルフとニーナの間に沈黙が走る。
 なんとなく気まずい。

「やっぱりロルフ様はおモテになられてるんですね……そうですよね。色々と手慣れていらっしゃったようですし……」
「極悪がついても王族だから権力目当ての女が寄ってきたこともある、という話だ。言っておくが手を出したことは一度もないからな」