「っ、だめです。私はロルフ様の専属調香師です。愛人と呼んでいただいても構いませんっ。とにかく私はロルフ様のために――」
彼のために香水を作りたい。彼が健やかな日々を過ごせるように。華やかな気分になれるように。彼の支えになりたい。
背後からがっと顎を掴まれる。ミカエルの声から穏やかさが消えた。
「その様子だと全部聞いたんだ? アイツの初恋の話とか――」
「そ、それは……」
あまりにも分かりやすく反応してしまった。聞きたくない。
ロルフの初恋の話を今繰り返して欲しくない。彼の大切な思い出のはずで、そこから得る幸福だけを香水で表現することもできるかもしれないのに我ながら酷い調香師だ。
ニーナの反応に一瞬目を見張った。意外と言いたそうだ。
「へえ……やっぱりニーナちゃんは面白いなあ」
王太子の上機嫌な声が耳元で響いた瞬間、勢いよく調香室の扉が開かれた。
「ニーナ」
優しく名前を呼ばれて目が合うと同時に視界が反転する。ふわりと身体が浮いて、再度床に足が着いてようやく自分が一瞬でロルフの背中に回されたのだと気付く。
ロルフはミカエルの胸ぐらを掴み詰問した。
「ミカエル……貴様がなぜここにいる。ニーナになにをした」
彼のために香水を作りたい。彼が健やかな日々を過ごせるように。華やかな気分になれるように。彼の支えになりたい。
背後からがっと顎を掴まれる。ミカエルの声から穏やかさが消えた。
「その様子だと全部聞いたんだ? アイツの初恋の話とか――」
「そ、それは……」
あまりにも分かりやすく反応してしまった。聞きたくない。
ロルフの初恋の話を今繰り返して欲しくない。彼の大切な思い出のはずで、そこから得る幸福だけを香水で表現することもできるかもしれないのに我ながら酷い調香師だ。
ニーナの反応に一瞬目を見張った。意外と言いたそうだ。
「へえ……やっぱりニーナちゃんは面白いなあ」
王太子の上機嫌な声が耳元で響いた瞬間、勢いよく調香室の扉が開かれた。
「ニーナ」
優しく名前を呼ばれて目が合うと同時に視界が反転する。ふわりと身体が浮いて、再度床に足が着いてようやく自分が一瞬でロルフの背中に回されたのだと気付く。
ロルフはミカエルの胸ぐらを掴み詰問した。
「ミカエル……貴様がなぜここにいる。ニーナになにをした」


