「そう逃げないでよ。わざわざニーナちゃんにドレスと香水を返しに来たんだからさ」
背中すれすれの距離に気配を感じて、一瞬で王太子との距離が詰まったのだと察する。
背後から腕を掴まれて渡されたドレスと香水を抱えさせられる。そのまま肩に手を添えられて思わず力が入ってしまった。動けなくなるとロルフの兄とはいえ警戒心が隠せない。
「ねえ、ニーナちゃん。ロルフは君を随分大事にしてると思わない? あの極悪王子なんて呼ばれてる男がだよ? そんな子が気になっちゃうのも、その香水がほしいなって思うのも当然だと思うんだよね……僕のためにも香水を作ってよ。って、愛人だっけ?」
ミカエルがニーナの抱えた香水の蓋をこんこんと指で叩く。
「……ミカエル様には先日の選抜試験で選ばれた専属調香師がいらっしゃるのではないですか」
ミカエルはわざとらしく溜め息をついた。
「んー、いた。が正しいかな。香水作りより先に僕を誘ってきたから即日クビになっちゃったけどね……あの女がクビにしたんだけど。まあそれはいいや」
選抜された調香師をクビにした『あの女』と聞いてなぜか王妃の顔が浮かんだ。なぜ瞬時にそう思ったのか。自分はよほど顔に出やすいらしい。王太子が耳元で『せいかーい』と笑った。
背中すれすれの距離に気配を感じて、一瞬で王太子との距離が詰まったのだと察する。
背後から腕を掴まれて渡されたドレスと香水を抱えさせられる。そのまま肩に手を添えられて思わず力が入ってしまった。動けなくなるとロルフの兄とはいえ警戒心が隠せない。
「ねえ、ニーナちゃん。ロルフは君を随分大事にしてると思わない? あの極悪王子なんて呼ばれてる男がだよ? そんな子が気になっちゃうのも、その香水がほしいなって思うのも当然だと思うんだよね……僕のためにも香水を作ってよ。って、愛人だっけ?」
ミカエルがニーナの抱えた香水の蓋をこんこんと指で叩く。
「……ミカエル様には先日の選抜試験で選ばれた専属調香師がいらっしゃるのではないですか」
ミカエルはわざとらしく溜め息をついた。
「んー、いた。が正しいかな。香水作りより先に僕を誘ってきたから即日クビになっちゃったけどね……あの女がクビにしたんだけど。まあそれはいいや」
選抜された調香師をクビにした『あの女』と聞いてなぜか王妃の顔が浮かんだ。なぜ瞬時にそう思ったのか。自分はよほど顔に出やすいらしい。王太子が耳元で『せいかーい』と笑った。


