ロルフに膝枕をしている最中、いつのまにか眠ってしまったニーナは広いベッドの上で目を覚ました。身なりはきちんと整えられていて、近くにいた使用人に聞くとロルフが夜中に運んでくれたらしい。
またやってしまった、とお礼と謝罪をしにロルフに会いに行く途中で調香室の扉が微かに開いているのに気付いた。
(ロルフ様?)
自分より先に調香室にいるなんて、もしかしてまた体調が優れず香水を求めているのかもしれない。昨日のラベンダーの香りは魔力量が少なかったから。
ところが開いた扉の向こうに探し人の姿はなく、その代わりに金髪の男が立っていた。
「やあ、ニーナちゃん。また会ったね」
「ミカエル様……っ」
どうしてここに。そう顔に出ていたのだろう。ミカエルはにこりと品のある笑みを浮かべる。
「どうしてって言いたそうだねえ。でもここは城の中だ。つまり僕の家でもあるんだからどこにいようと自由だろう?」
そう言われてみればその通りだ。ニーナは反論できず言葉に詰まってしまう。
とにかく、ロルフがいないのであれば今調香室に用はない。退出しようとニーナは恭しく頭を下げてから踵を返す。
「失礼致しました。では私はこれで――」


