【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

「も、もう夜ですよね? 体調はいかがですか? 試作の香水がございますのでこちらに魔力を詰めて先に……」
「体調も問題ない。君は朝からなにも食べてないんだろう。ほら、口をあけろ」

 ニーナの遠慮は完全に無視して次々と口に食事が運ばれる。食べてみるとお腹が空いていたことに気付いた。とはいえ、何日か食べるものがないなんてことは香水が売れない日が続けば珍しくもなかったため特に気にしていなかった。

「君がなにを好きか知らなかったから……色々用意させたんだ。これはどうだ?」

 ワゴンに乗せられた沢山の料理。香りがほとんどしないから言われるまで気がつかなかった。ロルフに聞けばシェフの特殊魔法で口に入れるまで香りが漏れないようになっているらしい。自分が調香室に篭もっているための気遣いなのかと思うとじんわりと胸が温かくなる。

 ――とはいえ、こんなに近くで見られていたらやり辛いわ……恥ずかしいし。

「あ、あの……どれも美味しいですがそろそろ自分で食べ……」
「駄目だ。可愛いし案外楽し……」

 まさか食い気味で拒否されるとは。なにか言いかけたロルフは軽く咳払いをする。

「……竜族はこうして世話を焼くのが結構好きな性質なんだ。気にせず君は構わず調香を続けてくれ……邪魔か?」