爽やかなレモン。とろけるようなイチジク。香り立つジャスミンとラベンダー。
調香室に並べられた材料はどれも庶民では到底手にできない品質だった。香料にしてみると更に質の良さが際立ち、ひとつひとつが一級品なだけあって無駄は出来ないといつも以上に調合する手にも力が入る。
「やっぱりこっちのレモンには少しミントを足して……うーん、キリッとさせるのありね。ペッパーも捨てがたい……」
「で、ディナーはどうするんだ?」
「わっ!? ロ、ロルフ様いつからそこに……っ、一旦お仕事に戻られたのでは……んむっ」
驚いてあけた口になにかが差し込まれた。温かくて優しい味が広がって、ロルフが手に美味しそうなリゾットを持っていてそれを食べさせられたのだと遅れて気付く。
「ああ。仕事も終わって随分遅くなってしまって寝室を覗いてみたが姿がない。まさかと調香室にきてみれば別れたままの君がいた」
ロルフは話しながらニーナが飲み込んだことを確認すると二口目をニーナの口に運ぶ。
「じ、自分で食べられます。それにロルフ様もご自分の食事が……」
「俺はもう済ませた」


