通りで、視線は重なっているのに遠くをみていると感じたはずだ。目の前の彼は、ニーナを通して『初恋の女性』を見ていた。説明されるとロルフの今までの言動に納得がいく。
切なげな表情、なにかを懐かしみ、愛おしむような視線。甘いキスも、優しい指も、全て自分に向けられてなどいなかった。
「私は、その方の身代わりなのですね」
なぜその女性を殺めたのか。それを聞く気にはなれなかった。愛故、とでも言われてしまったら今度こそ目を反らせずにはいられないからだ。
「……俺は君を失いたくない。側にいてくれニーナ」
ニーナの手を握る手が震える。縋るような声色は自分より四歳も年上とは思えない。
――ひどい人。
初恋の人を重ねて優しくして。甘い言葉をかけて。身代わりとして、香水を作って側にいろという、それでいて自分はあと一月もしないうちに呪いで命を落とすなんて。
「……そんなあなたを利用しようとしている私はもっとひどいです」
堪えていた涙が溢れだす。ニーナの頬を伝う滴を唇で拭ったロルフは、宥めるようにそっと抱き寄せた。
切なげな表情、なにかを懐かしみ、愛おしむような視線。甘いキスも、優しい指も、全て自分に向けられてなどいなかった。
「私は、その方の身代わりなのですね」
なぜその女性を殺めたのか。それを聞く気にはなれなかった。愛故、とでも言われてしまったら今度こそ目を反らせずにはいられないからだ。
「……俺は君を失いたくない。側にいてくれニーナ」
ニーナの手を握る手が震える。縋るような声色は自分より四歳も年上とは思えない。
――ひどい人。
初恋の人を重ねて優しくして。甘い言葉をかけて。身代わりとして、香水を作って側にいろという、それでいて自分はあと一月もしないうちに呪いで命を落とすなんて。
「……そんなあなたを利用しようとしている私はもっとひどいです」
堪えていた涙が溢れだす。ニーナの頬を伝う滴を唇で拭ったロルフは、宥めるようにそっと抱き寄せた。


