「君が謝る必要はない。話さなかったのは俺だ。こんな情けない姿を君に知られたくないと……見栄を張った」
眉を下げるロルフに対してふと疑問が湧いた。なぜただの調香師である自分に見栄を張るなんて言い方をするのか。ただ知る必要が無いからではないのか。
少し期待してしまう。もしかして、ニーナがロルフに彼の面影を感じた瞬間があるように、ロルフもなにか感じてくれているのではいか。
「ロルフ様は、なぜ私にそこまで」
ロルフは握っていたニーナの手に力を込める。まるで逃亡を防ぐように。
「君は俺の初恋……唯一の女性に似ている」
ロルフの手がニーナの頬に触れ、上を向くよう促されると蒼い瞳と視線が重なる。まるで深い海の底のような寂しさが漂っていて吸い込まれそうだ。遠くの波の音に耳を澄ませるような気持ちでロルフの言葉が続くのを待っている。
心臓がゆっくりと冷えていくような感覚。
「――それは、どなたなのですか……?」
「名前は知らないんだ。随分昔に会ったきりで……彼女は死んだんだ。俺が彼女を殺した」
どくんっと心臓が鳴った。
「……君はまるで彼女が成長した姿そのものだ。ひと目見たとき絶対に離したくないと思った」
眉を下げるロルフに対してふと疑問が湧いた。なぜただの調香師である自分に見栄を張るなんて言い方をするのか。ただ知る必要が無いからではないのか。
少し期待してしまう。もしかして、ニーナがロルフに彼の面影を感じた瞬間があるように、ロルフもなにか感じてくれているのではいか。
「ロルフ様は、なぜ私にそこまで」
ロルフは握っていたニーナの手に力を込める。まるで逃亡を防ぐように。
「君は俺の初恋……唯一の女性に似ている」
ロルフの手がニーナの頬に触れ、上を向くよう促されると蒼い瞳と視線が重なる。まるで深い海の底のような寂しさが漂っていて吸い込まれそうだ。遠くの波の音に耳を澄ませるような気持ちでロルフの言葉が続くのを待っている。
心臓がゆっくりと冷えていくような感覚。
「――それは、どなたなのですか……?」
「名前は知らないんだ。随分昔に会ったきりで……彼女は死んだんだ。俺が彼女を殺した」
どくんっと心臓が鳴った。
「……君はまるで彼女が成長した姿そのものだ。ひと目見たとき絶対に離したくないと思った」


