【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 呪いにより確実に迫り来る死を完全に受け入れている様子がニーナには耐えられない。

「いやです、ロルフ様がいなくなるなんて……っ、どうにか、なにか方法が……」
「俺の噂を知っているだろう? この国にとってはそれが一番都合がいい。それにもう散々足掻いたんだ。こうして君にも出逢えた。もう十分だ」

 その美しい瞳はもう涙が一滴も出ない気がして、ニーナは胸が潰れるようだった。なにも知らなかった。子供のように駄々を捏ねて無理やり聞きだした重い真実にかける言葉が見つからない。
 蔑まれ、罵られ、信じることを諦めてしまう悲しさを誰よりも知っているつもりでいたのに。

「……ロルフ様」

 向けられた背に思わずニーナは抱きついていた。ひんやりとした体温に顔を埋めて、しゃくりあげてしまう。いやだ。いなくなってしまうなんて、考えたくない。

自分の頭の中は結局、母の香水を完成させて初恋の彼に渡したい。そればかりだった。調香師だと言っておきながら、ロルフのための香水を一番に考えていなかった。

「な、何も知らないで私っ、ひどいこと考えててっ、ごめんなさい……ロルフ様……」

ロルフの手が戸惑いながらニーナに触れる。