「その通り、俺は竜族でありながら魔力を持たずに生まれた。だが、やはり竜族の血のせいか満月の夜になる度不調に襲われるんだ。……赤い満月の日が近づく最近は特にな」
碧い瞳が優しく向けられる。ニーナの手にロルフの手が重ねられる。
「君の香水と魔力に出会って、その苦しみが癒やされたんだ」
ニーナはかつて、ロルフに攫われ始めて触れられた時を思い出した。
欲情に駆られたような行為の中で、香りと魔力に執着し、苦しげな表情をみせるロルフの体調が気になった。昨日の夜だってそうだ。ここでようやく、ロルフの不調を癒やしていたためだったのだと結びつく。
「……話さないでいることのほうが無理があったな」
ロルフは空いている自分の手のひらを見つめ、ぎゅっと握った。悔しげなそれをニーナは黙って目で追いかける。
「俺は赤い満月の夜に生まれたんだ。なんの悪戯かミカエルの誕生日と同じ日にな。赤い満月の夜は二十五年に一度。二度目の満月の夜、二十五歳になる。そして……」
新緑色の瞳がロルフを見上げる。表情は変わらないまま、碧い瞳が悟ったように遠くを見つめた。
「その日、俺は死ぬ」
碧い瞳が優しく向けられる。ニーナの手にロルフの手が重ねられる。
「君の香水と魔力に出会って、その苦しみが癒やされたんだ」
ニーナはかつて、ロルフに攫われ始めて触れられた時を思い出した。
欲情に駆られたような行為の中で、香りと魔力に執着し、苦しげな表情をみせるロルフの体調が気になった。昨日の夜だってそうだ。ここでようやく、ロルフの不調を癒やしていたためだったのだと結びつく。
「……話さないでいることのほうが無理があったな」
ロルフは空いている自分の手のひらを見つめ、ぎゅっと握った。悔しげなそれをニーナは黙って目で追いかける。
「俺は赤い満月の夜に生まれたんだ。なんの悪戯かミカエルの誕生日と同じ日にな。赤い満月の夜は二十五年に一度。二度目の満月の夜、二十五歳になる。そして……」
新緑色の瞳がロルフを見上げる。表情は変わらないまま、碧い瞳が悟ったように遠くを見つめた。
「その日、俺は死ぬ」


