【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。



本日二回目の迷子になりました。

――逃げてたはずなのに匂いに誘われて……。

とにかく走り続けていたら、嗅いだことのない香りが漂ってきて気がついたらこの場所にいた。
 見上げればガラス張りの天井。降り注ぐ太陽の光に照らされるのは生い茂る草や木。
 噴水のように規則的な水の音が静かに響いていて、花や草の匂いが充満している。

――植物園だわ。王城には立派な植物園があるって話をきいたことがあるけれど、まさか実際に見れる日がくるなんて!

 ニーナはの場所に辿り着いた過程も忘れて、ご機嫌に長い尻尾を揺らして木に登ってみる。木に咲いている鼻に顔を近づけると、つんとした強い刺激臭がして、逃げるように別の木に飛び移った。

 次の木には見たことがない果実が実っている。赤くて丸い。りんごにも似ているけれど、もっと表面に艶があって、指でつまめるサイズだ。恐る恐るピンクの鼻を近づけると、今度は甘酸っぱい香りがした。瑞々しくて、いかにもジューシーで美味しそうだ。

――リリィにとっても似合いそう。ロルフ様がつけたら……それも意外で面白いかも。

 迷子になった不安感はとっくに消えていた。
 それどころか、この植物園にある全てを嗅ぎ尽くしたくてしかたない好奇心でいっぱいだ。