「僕も欲しいなぁ」
王太子が掴んだ腕を引き上げるとニーナのつま先は容易く床から離れそうになる。また顎に指をかけられると、目の前に王太子の顔が近づいてきた。
「――嫌っ!」
不安や恥ずかしさ、ロルフに触れられる時はそれでいっぱいだった。でも今は恐怖や、嫌悪感しかなくて、これ以上触れられることに耐えきれなかった。ロルフの不器用な笑みが浮かぶ。
「なっ!」
ぽんっと弾けるような音を出して、ニーナは勢いよくその場から走り去った。
服も、香水も、すべてをその場に置き去りにして。栗色の毛並みを揺らしてただ遠くへと走り続けた。
「成人の猫族が自ら猫化するなんて……本当に面白いなぁ」
ひとり、廊下に残された王太子はくつくつと肩を揺らす。
床に散らばったドレスと香水を拾い上げると広がる太陽の香りに王太子は目を伏せた。
「アイツだけ、ずるいなぁ」
王太子が掴んだ腕を引き上げるとニーナのつま先は容易く床から離れそうになる。また顎に指をかけられると、目の前に王太子の顔が近づいてきた。
「――嫌っ!」
不安や恥ずかしさ、ロルフに触れられる時はそれでいっぱいだった。でも今は恐怖や、嫌悪感しかなくて、これ以上触れられることに耐えきれなかった。ロルフの不器用な笑みが浮かぶ。
「なっ!」
ぽんっと弾けるような音を出して、ニーナは勢いよくその場から走り去った。
服も、香水も、すべてをその場に置き去りにして。栗色の毛並みを揺らしてただ遠くへと走り続けた。
「成人の猫族が自ら猫化するなんて……本当に面白いなぁ」
ひとり、廊下に残された王太子はくつくつと肩を揺らす。
床に散らばったドレスと香水を拾い上げると広がる太陽の香りに王太子は目を伏せた。
「アイツだけ、ずるいなぁ」


