迷子になった。
王城は広過ぎる。それに、勢いで飛び出してきたもののロルフの部屋がどこなのか、そもそも公務と言っていたし、城内にいるのかすらも分からない。
長い廊下をうろうろしていると前方からやってきた人物に声をかけられた。
「あれ。キミは確か……」
金糸のような髪に透き通るような青い瞳。
遠目でも分かる。王太子・ミカエルだ。
従者を引き連れ、颯爽と距離を詰められる。
ニーナは慌てて頭をさげ、ドレスの裾を持ち丁寧に挨拶をした。
「こ、これは王国の太陽、ミカエル様っ」
「あー。そういう堅苦しいのいいからさ。えっと……」
「ニーナ・クーリッヒと申します。昨日から……ロルフ様にお世話になっております」
「ああ。そうそうニーナちゃん。キミがロルフの愛人かぁ」
愛人。そう言われて思わずどきりとした。
やはり試験で不合格になった調香師志望の者がこうして城内にいればそう説明するのが早いのだろうが一体どういう顔をしていればいいのか分からない。
目を伏せていると、突然顎に指をかけられ視線をあげられる。
「ミ、ミカエル様……?」


