【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 初めてロルフに触れたときに無臭だったのが異様に感じたのを思い出す。恐らくつい最近まで香水をつけていなかった彼がなぜ急に専属の調香師を欲したのか。

 愛人のフリをしてでもと専属調香師になったのに、実際のところなにも知らない。
 香水をつけるからには、自分にとってどうありたい、他人にどう思われたいという思惑が少なからずあるはずだ。魔力を重視しているのなら尚更、魔力の増加や、体力の回復、それ以外にも精神的な安定など、様々な効果を期待できるはずだ。けれど、それはあくまでも『魔力がある人にとって』の話だ。

 ロルフは『持たざる王子』と呼ばれていた。
 生まれつき魔力を持たないから他人を羨み、腹いせに非道な処罰をするのだと。

 ――そんなロルフ様がなぜ、魔力を含んだ香水を必要としているの?

 魔力を持たないのだから必要ないはずだ。もしくは、無いに等しいのであればあんなにも直接魔力を取り込む必要があるのだろうか。
 小さなコップの中に大量の水を注ぐのと同じで、コップそのものの容量が変わるわけではない。

 ニーナは少し考えてみるも分からない。悩むには、ロルフのことを知らなすぎる。