【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 ――もっと打算的に生きてやるわ。

 そう自分に誓って、ニーナは重ねられた唇を受け入れた。
 だが、柔らかい唇は重なるだけでそれ以上のことは起こらない。

「……抵抗しないのか。君は俺が好きではないだろう」

 目を開けるとロルフが苦笑していた。勝手にはじめておいて、抵抗しないのかなんて意味がわからない。
 ベッドでキスをしているこの状況で、これからなにが始まるのか分からないほどニーナも純朴ではなかった。それにもちろん、ニーナが好きなのは思い出の中の『彼』だけだ。それも理解したうえで、目の前の男を受け入れようとしている。
自分でも一番理解できないのは、ロルフの熱っぽい視線が全く嫌では無いことだ。

 ――ロルフ様は雇用主として私の魔力が欲しい、ただそれだけ。私も仕事だから嫌じゃないのよ。

 なにか勘違いしそうになっている自分に気付いて慌てて冷静さを引き戻す。

「……直接魔力を取り込むということですよね……だ、だいじょうぶですっ、できます」
「……そうか。王子の手つきになれば安泰……あの噂は事実だ。安心してくれ」

 なぜか、彼のほうが傷ついたような顔をしてみえた。

 ――なんで、あなたがそんな顔をするの……?