勢いよくそのまま体勢を崩したふたりは木から落ちてしまう。ニーナは反射的に少年を庇う体勢をとり、衝撃にそなえた。

 体が打ち付けられる鈍い音が響く。が、痛くない。
 確かに落ちた感覚があるのに予想していた衝撃がなく、ニーナは恐る恐る固く瞑っていた目を開けると、状況を確認する前に後方から声が聞こえてきた。

「――おい。誰の上にいるか分かっているのか?」