【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 泣いたところでなにも解決しないことなんて分かっている。けれど、 あまりにも理不尽だ。やるせない。
 ニーナはその場にしゃがみこみ、香水瓶を抱きしめる。すすり泣いている自分の声が嫌で、息を止めると、どこからか『ニャー……』と震える声がしてハッと顔をあげた。

「仔猫の声……?」

あたりを見渡して気付く。ふらふらと歩いているうちにどうやら王宮の中庭のような場所にきてしまったらしい。追い出された身で王宮内をうろついていては大変なことになると思いつつ、ニーナは先程聞こえた仔猫の鳴き声に耳をすませた。
すると、大きな木の上に茶色の毛の子猫が震えているのを見つけた。

「大変っ、降りられなくなっちゃったの?」
「にゃっ、にゃ……」

猫族の子供だ。
猫族が猫化してしまうのは体力を使い果たしたときや自己の処理能力を超えた事態に見舞われたときなどだが大人になるとある程度コントロールできるため早々しなくなる。
 だが、子供のうちは高いところに登りたいあまり自ら猫化してそのまま体力を使い果たし、戻れなくなってしまうことがあるのだ。恐らくこの子もそうだろう。