【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。

 ひとつ、一番大きな椅子があいているのは、王様のものだろう。 王様は数年前からご病気で床に伏せていると公表されているため、今日もこの試験会場にはいないようだ。

使用人の方々に案内され、各自王族に挨拶を済ませた後、テーブルの前に立つと、王妃が穏やかな口調で声をあげた。

「調香師の皆さま、よくぞいらっしゃいました。試験の内容は事前にお知らせした通り、第一試験が香りの識別、調合。そして第二試験は今日お持ち頂いた自作の香水を披露していただきます。因みに、私が欲しいのは美しい愛の香水を作れる調香師――皆さん、素晴らしいものをみせてくださいね。楽しみにしておりますわ」

一瞬にして、会場内に緊張が走る。それもそのはずだ。周りを見渡すと有名な香水店の調香師たちが店の制服を着て参加している。先程ニーナの陰口を叩いていた人もそうだ。それぞれが各自の店の看板を背負い、そして同じ店に勤める者同士もここではライバルになる。何重にも責任とプライドがかかっているのだ。

 ――私も負けられないわ。

この日に備えてニーナは今の自分ができる全てを尽くしてきた。あとは出し切るだけだ。